化石燃料の代替としての、核融合
世界のエネルギー需要の増加に伴い、持続可能・再生可能なエネルギー源を確保する必要性が一層高まっています。この問題を解決すべく、研究者たちは核融合を活用し、太陽のエネルギー生成プロセスを地上で実現しようとしています。
ヘレウスコナミックのオプティクスグローバルセールス責任者、フランク ニュルンベルク博士へのインタビューでは、化石燃料の代替としての核融合エネルギーの重要性について取り上げます。核融合エネルギーを生み出す2つの手法のうちのひとつでは、高エネルギーレーザーが必要とされています。現在行われている実験でのその効率はおよそ70%。これはすなわち、投入した材料の約70%がエネルギーに変換されているということです。
ヘレウスは高エネルギーレーザーに特化した石英ガラスを通じて重要な貢献をしています。従来の窓ガラスとは異なり、このガラスはレーザー光線を波長レベルで効率的に透過させることができるのです。
太陽のエネルギープロセスを地球で再現。 それは科学者の夢です。
世界エネルギー会議によると、今後40年での必要電力量は 1.5倍に増える見込みです。 そのエネルギーの約50%が再生可能なプロセスから作られます。
しかし、残る50%は依然として 化石燃料を必要とします。 それに代わりうるのが、核融合エネルギーなのです。
水素同位体である重水素と三重水素を、高温高圧条件下で核融合させてヘリウムと大きなエネルギーを発生させ、それを電気に変えるものです。
材料である重水素は海水から得られるため、資源が豊富です。また得られる物質であるヘリウムは、放射性物質を生成せず、多くのCO2を発生させることもない気体です。
簡単な例を挙げると、石炭11トン分に相当するエネルギーは重水素と三重水素1gで得られます。核融合炉が1年間に必要とするのが250Kg分と考えると、それをまかなうのに十分な資源が 海水から簡単に得られることが分かります。
核融合には2つのアプローチがあります。 一つは磁場閉じ込め方式。条件を満たすために磁界が用いられます。 そしてもう一つがレーザー核融合です。 核融合プロセスの開始には、短時間で多くのエネルギー供給が必要ですが これに最適なのがレーザーなのです。
レーザー核融合のアイデアが生まれてから、 実験が初めて真に成功した2021年までは約70年を要しました。長い年月です。現在は、70%程度の効率に到達しています。 つまり、最初に投入したエネルギーに比べると 70%のエネルギーが生産されています。
依然として改善の余地が残っており、現在は初の実証機を作るために、スタートアップ企業と連携しています。つまり、科学研究としての実験から、商業的なエネルギー生産に移行しつつあります。
核融合に用いられるレーザーシステムは 通常のガラスが透過しなくなる波長範囲で動作します。 そのため、高純度のガラスが必要です。 石英ガラスは、このシステムに必要な範囲での光を 透過させることができます。
また、吸収率を最低限に抑えることができます。 ですから、すべての光が光学素子を通過するようにできます。
さらに、このシステムには何百もの光学素子が必要です。 その一つひとつの品質を保証する、 光学素子の信頼のおけるサプライヤーとなること。 ヘレウスにできるのは、まさにこのことです。